サヴァリッシュ&ニュー・フィルハーモニア管によるメンデルスゾーンの≪宗教改革≫を聴いて

サヴァリッシュ&ニュー・フィルハーモニア管によるメンデルスゾーンの交響曲全集から≪宗教改革≫(1966年録音)を聴いてみました。

キッチリと纏め上げた、誠実な演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。
一聴すると、ちょっと謹厳に過ぎるようにも思えますが、必要十分に伸びやかさがあり、しなやかでもある。この作品に不可欠な情熱が備わっていて、音楽がシッカリと躍動している。
しかも、過度に暑苦しくなるようなことはなく、ある種の清潔感が備わっています。そう、立派な演奏ぶりが示されていつつも、響きは必要以上に分厚くならない。その範囲で、充実した音楽が奏で上げられている。
そのうえで、逞しい生命力の備わった演奏が展開されている。
そして、これはフィリップスの美質が発揮された結果なのでありましょうが、音楽の手触りが柔らかくて、弾力性を帯びたものとなっています。音楽全体がまろやかでもある。暖色系の音で覆われているとも言えそう。こういったことは、フィリップスというレーベルによる多くの音盤に共通した特質であると言えましょう。その特質が、この演奏に大きな魅力を与えてくれている。更に言えば、メンデルスゾーンの音楽世界に相応しい優美なものにしてくれてもいる。

この作品の魅力を、更に言えばメンデルスゾーンの音楽の魅力を、シッカリと味わうことのできる演奏。
素敵な演奏であります。