イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管によるバルトークの≪弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽≫を聴いて

イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管によるバルトークの≪弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽≫(1985年録音)を聴いてみました。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

イヴァン・フィッシャーは、私が大きな信頼を置いている指揮者の一人でありますが、ここでも見事な演奏を繰り広げてくれています。
逞しくて、しかも、精緻な演奏となっています。熱くて、それでいて、冴え冴えとしてもいる。
躍動感に満ちていて、音楽がうねりにうねっています。オケを痛快にドライブしながら、推進力に富んだ音楽を、力強く奏で上げている。とは言いながらも、音楽が破綻をきたすようなことは全くなく、整然としている。凄絶でありつつ、奇怪な音楽にはなっておらず、美的な感覚に包まれた音楽が鳴り響いている。
そう、生命力に溢れていて、かつ、克明にして端正な演奏になっているのであります。目鼻立ちがクッキリとしている。直球勝負な演奏なのですが、威圧的な素振りは殆ど感じられず、ふくよかさやしなやかさも備わっている。流れが極めて自然で、弾力性を帯びてもいる。それはもう、ケレン味の全く無い演奏だと言えましょう。
しかも、昂揚感も充分。十二分にドラマティックであり、スリリングでもある。

音楽への誠実さが滲み出ていて、かつ、豊かな音楽センスが感じられる演奏。
イヴァン・フィッシャーの面目躍如たる、惚れ惚れするほどに素敵な演奏であります。