スークトリオによるドヴォルザークのピアノ三重奏曲第4番≪ドゥムキー≫(デンオン盤・1978年録音)を聴いて

スークトリオによるドヴォルザークのピアノ三重奏曲第4番≪ドゥムキー≫(1978年録音)を聴いてみました。

6楽章から成るこのピアノ三重奏曲は、とても起伏の激しい作品であると言えましょう。各楽章のなかでも、曲想や情緒の変化が頻繁に起こる。そして、郷土色が強く、かつ、生き生きとした音楽となってもいる。
ここでの演奏は、そのような曲想を鮮やかに描き切ったものとなっています。なんとも生命力に溢れた演奏となっている。とりわけ最終楽章では、頗る躍動感に溢れた演奏が繰り広げられている。そして、全編を通じて、確信に満ちていて、作品への深い共感が示されているように感じられる。
そんなこんなのうえで、とても雄弁であり、彫琢が深くて、かつ、明晰で緻密な演奏が繰り広げられています。土俗性のようなものがキッチリと描き出されていつつ、洗練味を帯びてもいる。抒情性が豊かでもある。そして、輝かしくて、彩り豊かな演奏となっている。
ドラマティックにして、スリリングでもある。そして、ロマンティシズムに溢れている。
更に言えば、凝縮度が高く、緊密なアンサンブルが繰り広げられていて、かつ、安定感は抜群。しかも、機械的な表情は微塵も感じられません。そう、真摯な態度に貫かれていると言いたい。

この作品の魅力を堪能することのできる、実に見事で巧緻な、そして、頗る魅力的な演奏であります。