マルティノン&パリ音楽院管によるフランス音楽集を聴いて

マルティノン&パリ音楽院管によるフランス音楽集(1960年録音)を聴いてみました。収められているのは、下記の4曲。
イベール≪ディヴェルティマンス(喜遊曲)≫
サン=サーンス≪死の舞踏≫
ビゼー≪子供の遊び≫
サン=サーンス≪オンファールの糸車≫

オシャレな感覚と、逞しさとを兼ね備えている演奏。そんなふうに言えるように思います。
「遊び心満載」な曲目が並んでいて、聴いていてウキウキしてくる。特に、イベールと、ビゼーの作品においては。
と言いつつも、ここでの演奏は、決して遊び心に傾斜したものではないように思えます。それよりももっと、真摯な音楽が鳴り響いている。そして、オケを存分に掻き鳴らしながら、実に立派な音楽が奏で上げられている。更に言えば、音楽がスピード感を帯びている。これらのことは、≪死の舞踏≫や、イベールの≪喜遊曲≫の中での幾つかのナンバーや、≪子供の遊び≫の終曲や、≪オンファールの糸車≫の中間部において、とりわけ顕著であるように思えます。
しかしながら、音楽が威圧的になるようなことはない。何と言いましょうか、洗練味を帯びた音楽となっている。猛々しさの中にも、しなやかな身のこなしが感じられる。そして、色彩的な華やかさを備えてもいる。それらは、パリ音楽院管の貢献も大きいと言えましょう。

克明な筆致で奏で上げつつ、フランス的な色彩もクッキリと表されている演奏。
フランス音楽(しかも、こういった小品たち)に触れる歓びを堪能することのできる、素敵な音盤であります。
そして、繰り返しになりますが、聴いていて楽しく、瀟洒な気分に浸ることのできる音盤であります。