ラトル&ベルリン・フィルによるボロディンの交響曲第2番を聴いて
ラトル&ベルリン・フィルによるボロディンの交響曲第2番(2007年 ジルヴェスターコンサートのライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
良い意味で演出の巧者な演奏だと言えそうです。聴かせ上手であるとも言いたい。
この演奏からは、あまり、ロシア的な泥臭さは漂ってきません。それよりももっと、洗練味を帯びた演奏となっている。それでいて、十分に押し出しの強さを備えている。
なるほど、厚みがあって、重量感のある演奏が展開されています。しかしながらそれは、ロシア的な野太さというよりも、ドイツ的な分厚さだと言えそう。この辺りは、ベルリン・フィルの体質にも依るのではないでしょうか。
そのうえで、劇的であり、ダイナミックな演奏が繰り広げられている。振幅が大きくもある。うねりも充分。敏捷性が高くもある。更には、存分に歌い込まれている。そんなこんなによって、実にスリリングな演奏となっています。この辺りは、ラトルの音楽性に依るところが大きいのでしょう。
しかも、誠にしなやかであり、柔軟性に富んでいる。ニュアンスがとても細やかで、ロマンティックであり、夢想的でもある。
あまりボロディンらしさの感じられない演奏。それでもやはり、ここでの巧みな演奏ぶりには感服してしまいます。
なんとも立派なボロディン演奏。そして、独自の魅力を宿しているボロディン演奏。そんなふうに言いたくなる演奏であります。