ネゼ=セガン&ヨーロッパ室内管によるブラームスの交響曲第3番を聴いて
ネゼ=セガン&ヨーロッパ室内管によるブラームスの交響曲全集から第3番(2023年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
清新であり、キリっと引き締まった演奏となっています。見通しが良くて、克明な演奏ぶりでもある。清潔感に溢れていて、颯爽としてもいる。
そういったことは、室内オケを起用していることにも依りましょう。響きが肥大化するようなことは一切ありません。更に言えば、織り成す綾が透けて見えてくるような演奏となっている。
しかも、躍動感も十分。大袈裟にならない範囲で、音楽がシッカリとうねっています。第1楽章の展開部(ここで、スイッチが切り替わったような演奏となっている)や、最終楽章の全般においては、必要十分に音楽が渦巻いている。
そのうえで、歌心にも不足はありません。それは特に、中間の2つの楽章において顕著。しかも、決して音楽が粘るようなことはない。それだけに、明快にして朗らかな歌を感じ取ることができる。それでいて、第3楽章では、この楽章に相応しい哀愁が漂ってもいる。
そんなこんなを、スッキリとした音楽づくりの中で過不足なく表現してくれている、ここでの演奏。清々しさの中から、ブラームスならではのロマンティシズムが浮かび上がってもくる。
ユニークな魅力を湛えているブラームス演奏。しかも、聴き応え十分で、説得力の十分な(いや、聴き手を惹きつける力をシッカリと有した、と言ったほうが適切かもしれません)演奏。
「作品から手垢を拭い取ったかのような演奏」という評言を時おり目にしますが、この演奏はまさに、そのような言葉が似つかわしいように思えてなりません。
多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、素敵なブラームス演奏であります。