アンゲルブレシュト&シャンゼリゼ劇場管によるドビュッシーの≪映像≫を聴いて
アンゲルブレシュト&シャンゼリゼ劇場管によるドビュッシーの≪映像≫(1954,57年録音)を聴いてみました。
レコード会社との契約の関係でシャンゼリゼ劇場管という表記になっていますが、実体はフランス国立放送管であります。
アンゲルブレシュト(1880-1965)は、ドビュッシー(1862-1918)と親友関係にあったフランスの指揮者。
さて、ここでの演奏はと言いますと、なんとも薫り高いものとなっています。しかも、頗る明快でもある。
特段、変わったことをしているようには思えないのですが、とても瀟洒な音楽が鳴り響いています。明晰さと朧(おぼろ)な雰囲気とが、絶妙な按配で溶け合っているとも言えそう。そう、目鼻立ちがクッキリとして、力感も充分でありつつも、ふくよかであって、弾力性を帯びていて、馥郁としている。そのうえで、暖かみが感じられる。充分に色彩的であり、光沢を帯びた音楽となっている。
更には、オーケストラの響きが、実に魅力的であります。飄々としていながらも煌びやかな響きをした木管楽器を中心に、古き佳き時代のフランスのオケが持つ魅力が猛烈に放たれている。その点で、まさに、ローカル色豊かな演奏だと言えましょう。
聞こえてくる音に震い付きたくなるほどに魅力的な演奏。
いやはや、なんとも素敵なドビュッシー演奏であります。