カッチェン&ケンペ&BBC響によるブラームスのピアノ協奏曲第1番を聴いて
カッチェン&ケンペ&BBC響によるブラームスのピアノ協奏曲第1番(1967年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
カッチェン(1926-1969)はアメリカのピアニスト。生年で見れば、ブレンデルよりも5つ年長で、ミケランジェリと比べると6つも年少になります。彼らと同世代のピアニストと言えましょうが、43歳の誕生日を迎える前に肺癌でこの世を去ってしまいました。
ブラームスを得意としていて、ピアノ独奏曲の全集を制作。その音盤は、ブラームスのピアノ集の代表盤の一つとして、今も広く聴かれていると言えましょう。
そのようなカッチェンの演奏は、堅実でありつつも、豪壮な演奏ぶりを示すことが多いのが特徴と言えそう。響きは硬質で、凝縮度の高い演奏を繰り広げてくれていた。佇まいは凛としていた。そのうえで、重厚で、構成感の高い音楽づくりを見せてくれていた。
このブラームスのピアノ協奏曲第1番でも、そのような特徴がクッキリと現れています。すなわち、硬質な音楽づくりを施しながら、毅然とした演奏を繰り広げてくれている。そのうえで、決して華やかな演奏ではないのですが、ピアニスティックな面白さを備えていて、必要十分に壮麗でもある。随所で、充分なるヴィルトゥオージティを感じさせてくれる演奏となっている。
そのような演奏ぶりが、この協奏曲の演奏として、誠に相応しい。凝縮度の高い壮大さを備えた音楽が鳴り響いています。最終楽章などでは、律動感に溢れていて、推進力豊かな音楽が奏で上げられている。最後の場面では、昂揚感の高い音楽が築き上げられてもいる。
そんなカッチェンをバックアップしているケンペもまた、毅然とした音楽づくりを施してくれていて、頗る魅力的。しかも、充分に勇壮でありつつも、ケンペならではの、暖かみを感じさせてくれる。格調高くもある。
カッチェンの魅力と、ケンペの魅力とが至る所から滲み出ている演奏。しかも、この協奏曲を聴く醍醐味を堪能させてくれる、聴き応え十分な演奏となってもいる。
なんとも素晴らしい演奏であります。