ルノー・カピュソン&ブランギエ&フランス放送フィルによるサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番を聴いて
ルノー・カピュソン&ブランギエ&フランス放送フィルによるサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番(2013年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
カピュソンならではの艶やかな美音で敷き詰められた演奏が繰り広げられています。そのうえで、この作品に相応しい、甘美にして妖艶な音楽世界が広げってゆく演奏となっている。
それでいて、過度に煽情的であったり、情に流されたり、といったようなところはない。むしろ、凛々しさを湛えていて、ピンと張りつめた緊張感が備わってもいる。
そのうえで、ふくよかで、かつ、歌い口も含めて伸びやかでしなやかでもある。それ故に、端正なロマンティシズムと言いたくなるような風情を湛えた音楽が鳴り響くこととなっている。十分にエレガントでもある。
そのようなカピュソンに対して、ブランギエもまた、端正にして真摯な音楽づくりを施してくれています。誇張が微塵もなく、瑞々しさが感じられもする。そのようなこともあって、凛とした音楽が奏で上げられることとなっている。カピュソンによる演奏と共鳴し合いながら、ヴァイオリン独奏をシッカリと支えてくれているとも言いたい。
カピュソン&ブランギエのコンビの素晴らしさと、作品の魅力とを堪能することのできる、素敵な演奏であります。