マルケヴィチ&ラムルー管によるブラームスの交響曲第4番を聴いて

マルケヴィチ&ラムルー管によるブラームスの交響曲第4番(1958年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

マルケヴィチによる演奏の特徴として、鋭利にして鮮烈な音楽づくりが挙げられようかと思います。キリっと引き締まったフォルムをしていることが多い。しかしながら、この演奏では、そういった要素は薄いと言えましょう。全体的な響きや、音楽が示しているプロポーションに、まろやかさが感じられる演奏が繰り広げられています。筋肉質というよりも、ふくよかなスタイルをしている。
そのうえで、やはりと言いますか、バイタリティの豊かな演奏となっている。火花の散るような熱さがある。こういった辺りは、いかにもマルケヴィチらしいところだと言えましょう。それらは特に、最終楽章において顕著。
そして、音楽がうねりにうねっています。決してベトつくような感触をしている訳ではないのですが、濃密なロマンティシズムが感じられる。全体的に、輝かしい音楽が奏で上げられている。壮健であり、かつ、強靭な演奏となってもいる。それはもう、この作品に対してしばしば使われる「枯淡」といった表現からは、縁遠いものだと言いたい。

過度に尖がっている演奏ではないものの、充分に鮮烈で、活力に満ちている演奏。しかも、感興の豊かな音楽が鳴り響いている。
独特の魅力を持っている、なんとも素敵な演奏であります。