ロジェストヴェンスキー&ソビエト国立文化省響によるショスタコーヴィチの交響曲第9番を聴いて

ロジェストヴェンスキー&ソビエト国立文化省響によるショスタコーヴィチの交響曲第9番(1983年録音)を聴いてみました。
このコンビはショスタコーヴィチの交響曲全集を完成させていますが、当盤はその中の1枚。

鮮烈を極めている演奏であります。誠に鋭利で、音のエッジが立っていて、輪郭が鮮やか。メリハリが効いている。明快な演奏ぶりでもある。そのうえで、頗る精緻。
実にパワフルで、かつ、活力に溢れた演奏が繰り広げられています。音楽に強靭さが備わっている。音圧の極めて高い演奏だとも言えましょう。
そんなこんなによって、聴いていて戦慄の走る演奏となっています。この曲が持っているアイロニーを、ニヒルに描き切った演奏だとも言えそう。そう、はっきりとしたアイロニーとして表現するのではなく、どこか虚無的であって、かつ、決然としてもいる。
全編を通して精巧な演奏ぶりが示されているのですが、とりわけ、第3楽章のPrestoでの、疾駆感に満ちた音楽づくりは見事の一言であります。中間部でのトランペットのソロも、実に鮮やか。そこから切れ目なく続く第4楽章のLargoの冒頭も、鮮烈を極めている。

強烈な魅力を備えている、素晴らしい演奏であります。