レッパード&イギリス室内管によるヘンデルの合奏協奏曲op.3全6曲を聴いて

レッパード&イギリス室内管によるヘンデルの合奏協奏曲op.36曲(1971年録音)を聴いてみました。
多くの楽章で主役を担っていると言えるオーボエのソロは、ニール・ブラックが担当しています。また、リコーダーにはデイヴィッド・マンロウが参加している。

レッパード(1927-2019)は私が大きな信頼を置いている指揮者の一人。もともとはバロック音楽の学者でありますが、指揮者としても高い音楽性を示してくれていた方であります。ほぼ常に、センス抜群な演奏を聞かせてくれていた。
指揮者としては、バロック音楽に限らず、チャイコフスキーやドヴォルザーク、グリーグといった作曲家の作品でも、頗る魅力的な録音を残してくれています。

さて、ここでのヘンデルもまた、実に音楽性の豊かな演奏が繰り広げられています。
なんとも典雅な演奏となっている。作品そのものが風雅な趣に包まれた音楽だと言えそうなのですが、そのような性格が、誇張されることなく描き出されています。
その演奏ぶりはと言えば、溌剌としていて、伸びやかで、清々しいもの。キビキビとしていて躍動感がある。しかも、流麗で、しなやかで息遣いの豊かな音楽が流れている。冴え冴えとしていつつも、隅々にまで血が通っていて、暖かみが感じられもする。
その一方で、キリリと引き締まっていて、端正で清潔感を伴った造形に惚れ惚れとしてしまいます。客観性の非常に高い演奏となっているとも言えそう。

聴いていて幸福感に包まれてくる、頗るチャーミングな作品であり、演奏であります。