マゼール&クリーヴランド管によるR=コルサコフ集(スペイン奇想曲 他)を聴いて

マゼール&クリーヴランド管によるR=コルサコフ集(1979年録音)を聴いてみました。

収められているのは、下記の3曲。
●≪スペイン奇想曲≫
●≪ロシアの復活祭≫
●≪金鶏≫組曲

鋭さと、透明さを持っている演奏だと言えましょう。それはまさに、マゼールの音楽性と、クリーヴランド管の特質とが融合された結果だと思えます。
R=コルサコフの音楽が持っている、華麗で絢爛豪華な雰囲気は、あまり顕著に浮かび上がってきていません。もちろん、最小限の範囲内で、そのような性格を窺うことはできるのですが、そのような面は強調されていない。音楽を煽って、スリリングな音楽を掻き鳴らそう、といったものでもない。それよりももっと、キリッとした音楽が志向されている。クリスタルのような、ひんやりとした手触りの演奏だとも言えそう。
その分、音楽の純度の高さが感じられます。音楽が過度に熱狂の色を帯びることなく、端整な佇まいが示されている。

それでいて、こじんまりと纏め上げられた演奏になっている訳ではありません。音楽は充分に躍動している。華美ではないのですが、光沢のある音楽が鳴り響いている。しかも、磨き上げが頗る入念。曖昧なところは微塵もなく、切れ味が鋭くて、克明な音楽が鳴り響いている。音像が誠にクッキリとしている。これらについては、クリーヴランド管の精緻な合奏が寄与しているところも少なくないと言えましょう。

ピュアな美しさを湛えているR=コルサコフ演奏。
ユニークな魅力を湛えている、素敵な演奏であります。