ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管によるブルックナーの交響曲第5番を聴いて

ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管(LGO)によるブルックナーの交響曲第5番(2010年ライヴ)を聴いてみました。2005-12年の足掛け8年をかけて、このコンビが完成させたブルックナー交響曲全集の中の1枚になります。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞。

ブロムシュテットらしく、真摯で、しかも清潔感に満ちた演奏となっています。とても自然体な演奏ぶりが示されているとも言えそう。奏で上げられている音楽は、キリっとした表情を湛えている。
全体的に、スッキリとしていて、重苦しさが全く感じられません。それでいて、軽量級のブルックナー演奏とは言えそうにない。小さく纏まらずに、必要十分に壮麗である。推進力や力感や、逞しさにも不足はない。しかも、それらが、決して大袈裟に振舞った結果として現れたようなものになっていないのがまた、ブロムシュテットらしいところ。
そんなこんなによって、流れの自然な演奏となっています。恣意的なところは皆無だと言えましょう。そして、確信に満ちている。
更に言えば、とても美しい。響きは澄み切っている。佇まいは誠に凛としている。コクの深さが感じられもする。
そのうえで、清澄でありつつも、ちょっとくすんだ感じもする。それは、LGOの体質にも依るのでしょう。その辺りが、ブロムシュテットがシュターツカペレ・ドレスデンやサンフランシスコ響と組んで録音したブルックナーとは、感覚面が少々異なるように思えます。

ス~っと耳に(そして、心に)入ってくる、素敵なブルックナー演奏であると思います。