オーマンディ&フィラデルフィア管によるコダーイの≪ハーリ・ヤーノシュ≫組曲を聴いて
オーマンディ&フィラデルフィア管によるコダーイの≪ハーリ・ヤーノシュ≫組曲(1975年録音)を聴いてみました。
芳醇な味わいを湛えた演奏となっています。そのうえで、適度に晴れやかでもある。
この作品が持っているシニカルな性格は薄められていると言うべきかもしれません。民族色の豊かさを強調した演奏にもなっていない。
その一方で、この作品の持つ色彩豊かな音楽世界が、鮮やかに描き出されている演奏が繰り広げられています。そして、物語性がくっきりと浮かび上がっているようにも思える。すなわち、語り口の巧みな演奏が繰り広げられているのであります。
更に言えば、その語り口は頗るまろやか。誇張が感じられるようなこともない。しかも、コクの深さが感じられる。格調高くもある。そんなこんなのために、誠に耳に心地よい。ケレン味がなくて、寛いだ気分で音楽に向き合うことのできる演奏だとも言いたい。
そのうえで、安心してこの作品の世界に身を委ねることができる。しかも、極上の響きの中に身を置きながら。決して分厚さの感じられる演奏となっている訳ではなく、華美に傾きすぎることもないものの、十分にゴージャスな音楽が鳴り響いています。とりわけ最終曲では、品位を保ちながら、煌びやかな音楽が奏で上げられている。
豊潤にして、ピュアな美しさを湛えている演奏。しかも、この作品の面白さを存分に楽しむことができる演奏となっている。
オーケストラ音楽を聴く歓びをタップリと味わうことのできる、なんとも素敵な演奏であります。