プレヴィン&ウィーン・フィルによるオルフの≪カルミナ・ブラーナ≫を聴いて

プレヴィン&ウィーン・フィルによるオルフの≪カルミナ・ブラーナ≫(1993年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

なんとも魅力的な演奏であります。
≪カルミナ・ブラーナ≫としては異色と言っても良いほどに美しい演奏が展開されています。そして、信じられないほどにエレガントな演奏となっている。
そのような特徴に繋がる根源の大半は、ウィーン・フィルが担っているように思えてなりません。そう、ウィーン・フィルならではの美音で敷き詰められている≪カルミナ・ブラーナ≫。
それにしましても、なんと彩り鮮やかな演奏なのでありましょう。とは言え、決してケバケバしい訳ではありません。潤いがあって、柔らかい。更には、艶っぽくて艶やか(あでやか)。
木管群の音たちは、キラキラと煌めいている。弦や金管は、頗るふくよか。そして、響き全体が弾力性を持っていて、しかも暖かみを帯びている。
そのようなウィーン・フィルを相手に、プレヴィンは、大袈裟な演出を施さないながらも、音楽に充分な劇性を与えています。躍動感に溢れている。そして、とても端正。
目鼻立ちがクッキリとしていて明快なフォルムが示されていく。そのうえで、節度あるドラマティックな感興を添えていきながら、明瞭な音楽を奏で上げてゆくプレヴィン。そのようなこともあり、ドラマティックでありつつ、コクがあって、凛とした音楽世界が築き上げられてゆくのであります。

土俗性が殆ど感じられない、洗練味を帯びた≪カルミナ・ブラーナ≫。
これはもう、プレヴィンとウィーン・フィルの美質が最大限に発揮されている、とびっきり魅力的な≪カルミナ・ブラーナ≫だと言えましょう。