ミトロプーロス&ニューヨーク・フィルによるプロコフィエフの≪ロメオとジュリエット≫抜粋を聴いて
ミトロプーロス&ニューヨーク・フィルによるプロコフィエフの≪ロメオとジュリエット≫抜粋(1957年録音)を聴いてみました。
精緻で克明な演奏となっています。しかも、頗る鮮烈で、煽情的でもある。切れ味が抜群な音楽が奏で上げられてもいる。そして、決然とした演奏が展開されている。
しかも、精巧な音楽づくりが為されていて、周到にして折り目正しい音楽が奏で上げられている。そのような方向性が徹底されているが故に、厳粛さが漂ってもいます。緊密度が高くもある。激情的でいながらも、粗暴な音楽として鳴り響くようなことは一切ない。
そのうえで、音楽が存分にうねっている。曖昧さが一切なく、クリアな演奏ぶりでありつつも、音楽が弾けていて、大きく波立っている。推進力が大きくもある。そう、クールでいて、ホットな演奏が繰り広げられているのであります。
更に言えば、客観性が高くて理知的な音楽づくりでありつつも、劇性が強く、大きな起伏が取られている音楽が鳴り響いています。輝かしくて、ロマンティシズムに溢れてもいる。そのロマンティシズムは、頗る毅然としたものだと言えよう。
また、エネルギッシュで、ドラマティックでもある。しかも、そのエネルギーは、内側にギュッと凝縮してゆくようなものでありながらも、凝縮した後に一気に爆発してゆく、といった類のものだと言えそう。
以上書いてきたことは、ミトロプーロスによる多くの演奏に当てはまることだと言えそうだが、この演奏には、これらの特徴が顕著に刻まれていると言いたい。それは、ミトロプーロスと、プロコフィエフの作品の相性の良さにも依るのではないでしょうか。
ミトロプーロスの美質がギッシリと詰まっている、なんとも見事な、そして、頗る魅力的な演奏であります。