レヴァイン&ベルリン・フィルによるシベリウスの交響曲第5番を聴いて

レヴァイン&ベルリン・フィルによるシベリウスの交響曲第5番(1992年録音)を聴いてみました。


レヴァインらしい、豊麗で、かつ、おおらかな雰囲気を湛えた演奏となっています。
それでは、散漫な演奏になっているのかと言えば、さにあらず。むしろ、凝縮度の高い音楽が鳴り響いている。この辺りについては、ベルリン・フィルが大きく貢献しているように思えてなりません。合奏が何とも緻密。しかも、音の芯がシッカリとしていて、重層感があり、オーケストラ全体の音が束になって押し寄せてくるような圧力がある。更には、ふくよかで、弾力性のある響きがしている。そこに、レヴァインのグラマラスな音楽づくりが加わることによって、骨太で、底力のある、壮大な音楽となっています。
そのうえで、エネルギッシュで、ドラマティックな演奏な演奏となっています。とても逞しい。肉付きの頗る良いシベリウス演奏とも言えそう。その一方で、敏捷性にも不足はない。律動感に溢れている。
寂寥感が漂っている、というのとは違うのですが、過度に華美になっていたり開放的になっていたりという訳でもなく、粗野でもなく、どこか厳粛さが感じられる。超然とした雰囲気が漂ってもいる。そういった演奏ぶりが、シベリウスの音楽に、とりわけ、この作品の性格に相応しい。そして、この辺りもまた、ベルリン・フィルによる貢献が大きいと言えましょう。

熱くありつつも、純度の高い、そして、集中度の高い音楽が、終始鳴り響いています。骨格のガッシリしている演奏だとも言いたい。
充実度の頗る高い、素敵な演奏であります。