スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデンによるR・シュトラウスの組曲≪町人貴族≫を聴いて

スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるR・シュトラウスの組曲≪町人貴族≫(1963年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

なんとも優美な演奏であります。
決して華美な訳ではありませんが、「典雅な煌びやかさ」と言いたくなるような雰囲気に包まれています。洒落っ気たっぷりでもある。ここで鳴り響いている音楽は、スウィトナーの師であったクレメンス・クラウスを彷彿させてくれるかのよう。
しかも、躍動感にも不足はない。音楽が、生き生きと弾けています。
そのうえで、SKDによる典雅な響きがまた、ここでのスウィトナーによる音楽づくりの魅力を増大してくれていると言えましょう。

≪ナクソス島のアリアドネ≫の制作と密接に関わっている≪町人貴族≫。≪アリアドネ≫同様に、小編成のオーケストラが使われていますが、簡素でありながら彩り豊かな音楽となっている作品であります。ヴェルディによる≪リゴレット≫の中の「女心の歌」のメロディが、あたかも鳥の囀りのようにして顔を出すように、茶目っ気のある音楽となっている。それでいて、古雅にして、爽やかな華やかさを持っている音楽ともなっている。何よりも、美麗でお洒落で、可憐な音楽となっている。
そのような作品の魅力を堪能することのできる、素敵な素敵な演奏が繰り広げられています。そして、聴いていて、幸せな気分に浸ることができる。
あまり注目されることのなかった演奏と言えるかもしれませんが、この演奏、お薦めです。