プレトニョフ&ロストロポーヴィチ&ロシア・ナショナル管によるプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を聴いて

プレトニョフ&ロストロポーヴィチ&ロシア・ナショナル管によるプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番(2002年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

切れ味の鋭い、鋭敏な感性に裏打ちされた演奏となっています。敏捷性が高くて、粒立ちが鮮やかでもある。これらに関しては特に、プレトニョフに対して当てはまる。
そして、鮮烈さの感じられる演奏となっている。この点については、ソリストからも指揮者からも感じ取ることができるのですが、特にロストロポーヴィチの演奏ぶりから強く感じられます。
そのうえで、エネルギッシュでドラマティックで、スリリングな演奏が繰り広げられています。と言いつつも、決してサーカス的な演奏となっている訳ではなく、誠実さに包まれた演奏が繰り広げられている。そして、凝縮度が高く、かつ、集中度の高い演奏となっている。
しかも、第2楽章では、線がクッキリとしていつつも、アンニュイな雰囲気にも不足がない音楽が鳴り響いている。硬質なロマンティシズムを湛えた演奏となってもいる。
そんなこんなの演奏ぶりが、プロコフィエフのピアノ協奏曲の音楽世界に、とても相応しい。

ソリストと指揮者の美質が注ぎ込まれることによって、作品の性格を見事に表出されている、充実度の頗る高い演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。