ブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデンによるベートーヴェンの交響曲第4番を聴いて

ブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるベートーヴェンの交響曲全集から第4番(1978年録音)を聴いてみました。

ブロムシュテットらしい、誠実な演奏が繰り広げられています。堅実さと、優美さとが同居している演奏だとも言えましょう。
それはもう、虚飾の全く感じられない演奏となっている。作品を、あるがままの形で再現しよう。そのような思いで対峙している演奏だとも言えそう。
そのうえで、逞しい生命力に貫かれている。骨太だと言っても良いかもしれない。なるほど、第1楽章の序奏部は遅い足取りで翳の濃い表情をした音楽が鳴り響いているのですが、主部に入ると、逞しくて、推進力と躍動感に溢れていて、溌剌とした音楽が展開されてゆく。そのような性格は、最終楽章まで変わることはない。
ブロムシュテットと言えば、ちょっと控えめで、温厚で、可憐で、無垢で、というイメージが強いように思えるのですが、ここでの演奏は、かなり芯が太くて、強靭で、豪壮なものとなっています。
それでいて、ブロムシュテットならではの清潔感にも欠けていません。そう、不純物が入り混じっていない清浄な音楽が鳴り響いている。そして、適度に熱いながらも、爽やかで清々しい演奏となっている。
そのうえで、流れは極めて自然。強靭な演奏ぶりでありながら、力みかえったようなところは微塵も感じられません。しかも、全ての音が充実し切っている。堅固な構成感を備えてもいる。
更に言えば、実に美しい佇まいをした演奏となっている。
そのようなブロムシュテットによる音楽づくりに対して、キリリとしていて、清潔感溢れる美音を添えてくれているSKDがまた、なんとも魅力的。

聴き応え十分で、立派で、しかも、頗る素敵な演奏。
このような演奏、私は大好きであります。音楽を聴く歓びを満喫できる演奏だとも言えるのではないでしょうか。