ドホナーニ&ウィーン・フィルによるメンデルスゾーンの≪スコットランド≫を聴いて
ドホナーニ&ウィーン・フィルによるメンデルスゾーンの交響曲全集から≪スコットランド≫(1976年録音)を聴いてみました。
ウィーン・フィルによるメンデルスゾーンの録音は案外少なく、特に交響曲の正規録音については、他にはショルティ(イタリア)とガーディナー(イタリアと宗教改革)との録音があるくらいなのではないでしょうか。
(他には、輸入盤LPのみで限定販売されたドゥダメルとの≪スコットランド≫というレア物もあるようですが。)
そのような中で、ドホナーニとの全集の存在は、のどの渇きを癒してくれるに充分だと言えましょう。ウィーン・フィルならではの、優美な音楽世界に彩られながらのメンデルスゾーンを楽しむことができる。
しかも、ドホナーニの音楽づくりが、目鼻立ちがクッキリとしていて、格調高さもあって、凛々しい演奏ぶりが示されていまして、実に素晴らしい。
この≪スコットランド≫もまた、流麗で、しなやかで、詩情豊かな、素敵な演奏となっています。しかも、表情がキリっとしてもいる。
それでいて、適度にふくよかで、豊麗でもある。この辺りは、まさにウィーン・フィルの体質ゆえでありましょう。
更に言えば、凛としていながらも、音楽が十分にうねっていて、毅然としたドラマ性を秘めてもいる。この辺りは、この作品の性格が明瞭に反映されている結果だと言えましょう。
そして、メンデルスゾーンならではの優美さを満喫することができる。
ドホナーニ&ウィーン・フィルの魅力がシッカリと刻印されている、なんとも素敵なメンデルスゾーン演奏であります。