ハイティンク&コンセルトヘボウ管によるブルックナーの交響曲第7番を聴いて
ハイティンク&コンセルトヘボウ管によるブルックナーの交響曲第7番(1978年録音)を聴いてみました。
誠実な演奏ぶりが貫き通されていながら、硬直した音楽になったり、堅苦しさが感じられたり、といったことは一切なく、しなやかにして美しく、そして、充実した音楽が鳴り響いています。
一貫して、音楽がタップリと鳴り渡っています。しかもそれは、率直にして豊かな感受性を裏付けとしながらの、しなやかで生命力に溢れた演奏になっている。そう、変に縮こまったりせずに、自然体が貫かれながら、スケールの大きな演奏が繰り広げられているのであります。
そのうえで、骨格がシッカリとした演奏となっている。背筋がピンと立っていて、凛としてもいる。潔い演奏ぶりであるゆえに、一種の清々しさのようなものが備わってもいる。その一方で、重厚感にも不足はない。推進力は十分で、剛毅でもある。
化粧っ気の全くない、質実剛健な演奏と言うべきかもしれません。それがまた、ブルックナーの音楽にぴったりであります。それでいて、過度に武骨になるようなこともなく、適度に流麗でもある。いや、典麗と表現した方が、相応しいかもしれません。
更には、コンセルトヘボウ管ならではの芳醇な響きがまた、実に魅力的。その音からは、底光りするような美しさが感じられます。
ハイティンクが49歳であったときの録音になりますが、風格豊かで、安定感が抜群。しかも、気力が横溢している。聴き応え十分の、充実の演奏が繰り広げられている。
いやはや、実に素晴らしい演奏であります。
それにしましても、1970年代のハイティンクは、ほんっとに素晴らしい。充実感いっぱいな演奏ばかり。この時期のハイティンク、大大大好きであります。
その中でも、この音盤は、ひときわ、鮮やかな光彩を放っているように思えてなりません。私にとっては、とても印象深い音盤となっている。それは、ブルックナーの交響曲が採り上げられているという、作品そのものが持っている「重量感」に依るのかもしれません。