ジュリーニ&ベルリン・フィルによるフランクの交響曲を聴いて

ジュリーニ&ベルリン・フィルによるフランクの交響曲(1986年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

じっくりと腰を据えた演奏ぶりによる、重厚にして風格のある演奏が繰り広げられています。この演奏で接すると、この作品が「大交響曲」の様相を呈してくる。そう、なんとも威厳があって、壮大な音楽として鳴り響いている。
なるほど、偉大な交響曲であることは間違いないでしょう。しかしながら、この演奏では、いつにも増して、堂々たる音楽として聞こえてくるのであります。誠にスケールが大きくて、揺るぎない安定感がある。そして、骨太でもある。

遅めのテンポで、悠然と音楽は進められてゆく。一歩一歩をじっくりと踏みしめながら。一点一画も揺るがせにしない演奏ぶりが展開されています。更に言えば、誠に篤実な演奏ぶりとなっている。
そこから広がってくる音楽世界は、頗る宏大なもの。そして、実に濃密な音楽となっています。深い情念のようなものが感じられる。重々しくて、荘重でもある。
そのうえで、沈鬱とした性格がかなり強調されているようにも思えます。それでいて、逞しい生命力が宿ってもいる。グイグイと押し進めてゆく場面では、音楽は存分にうねっていて、情熱が渦巻いている。そして、輝かしくもある。

なんとも立派で、聴き応え十分な演奏。
独自の魅力を宿している、素晴らしい演奏であります。