プレヴィン&ロイヤル・フィルによるエルガーの≪威風堂々≫全5曲を聴いて

プレヴィン&ロイヤル・フィルによるエルガーの≪威風堂々≫全5曲(1985年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

明朗にして、端正な演奏であります。毅然としてもいる。しかも、プレヴィンならではの暖かみやマイルドな肌合いが感じられもする。
「背筋のシャンと伸びた演奏」といった表現が似合っているのではないでしょうか。「こけおどし」も一切感じられない。プレヴィンの人柄なのでありましょう。
曇りのない、澄み切った雰囲気に満ちている演奏が繰り広げられています。とてもスマートでもある。そして、スッキリとしていて、瀟洒で、洗練味が感じられる。そのうえで、暖かみがあって、包容力のある演奏となっているのであります。
更に言えば、覇気に満ちた音楽が奏で上げられている。音の粒がクッキリとしていて、明快な音楽づくりがなされてもいる。
決して居丈高な演奏ぶりではないのですが、晴朗で、しかも、高潔な壮麗さとでも評すことのできそうな品格が感じられる演奏。タイトルの通りに威風堂々とした音楽が鳴り響いています。そのうえで、エルガーならではの気高さも充分。

これはもう、プレヴィンの音楽センスの豊かさがそこここから滲み出ている、そして、音楽に対する愛情に溢れている演奏だと言えましょう。
そして、肩肘張らずに聴くことができ、なおかつ、誠実に作品の魅力を描き上げている素敵な演奏だと言いたくなります。