ネーメ・ヤルヴィ&ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管によるグラズノフの≪四季≫を聴いて

ネーメ・ヤルヴィ&ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管によるグラズノフのバレエ音楽≪四季≫(1987年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

グラズノフは、ロシアの作曲家でありながら、あまり泥臭い作風でないと言いますか、西欧的な洗練味を帯びていて、華麗な作品を多く手掛けている作曲家だと言えましょう。その多くの作品は、ロマンティシズムに溢れた美麗な音楽世界が広がっている。更に言えば、オーケストレーションの手腕にも優れていて、煌びやかで絢爛たる音楽がゴージャスに鳴り響く、という場面も少なくない。
そのような特徴は、バレエ音楽において、とりわけ顕著に現れていると言えましょう。この≪四季≫は、≪ライモンダ≫とともにグラズノフが手掛けたバレエ音楽の中でも広く親しまれている作品となっており、演奏時間が全曲でも40分ほどと手ごろな長さだということもあるのでしょう、数多くの音盤に恵まれています。
音楽は冬から始まり、春、夏、秋と続くのですが、終曲の「秋」は、華やかで、かつ、親しみやすいバッカナールを含んでいることもあって、とりわけ人気の高いナンバーとなっています。

そのような≪四季≫を、ネーメ・ヤルヴィは、豪快に、そして、華麗に演奏してくれています。
ネーメによる演奏の特徴は、基本的に骨太な音楽づくりにあると思えます。そのために、音楽がとても逞しい生命力を備えている。更に言えば、あまり細かなところに拘泥せずに作品を鷲掴みにして、鮮やかな手際を見せながら、全体像をケレン味なく提示してゆく。
そのようなスタイルで奏でられてゆく≪四季≫は、頗るスケールが大きくて、ふくよかで、華やかなものとなっています。しかも、四季折々の物語性もキッチリと描き出されている。終曲の「秋」では、歓びが弾けていると言えそう。

この作品の魅力を、ストレートに味わうことのできる演奏。そう、聴いていて、「あ~~、良い曲だなぁ」という思いがヒシヒシと込み上げてくる、素敵な素敵な演奏であります。