マッケラス&ウィーン・フィルによるヤナーチェクの≪シンフォニエッタ≫と≪タラス・ブーリバ≫を聴いて

マッケラス&ウィーン・フィルによるヤナーチェクの≪シンフォニエッタ≫と≪タラス・ブーリバ≫(1980年録音)を聴いてみました。

当盤は、クーベリック&バイエルン放送響(DG 1970年セッション録音)とともに、両曲のマイベスト盤となっています。
その演奏内容はと言えば、鮮烈を極めたものとなっています。輪郭線がクッキリとしている明快な演奏ぶりであり、かつ、バイタリティに満ちている。骨太な音楽づくりで、逞しさに溢れている。音楽が荒れ狂っていて、誠に激情的なものとなっている。
なんとも痛快な演奏であります。聴いていて、血湧き肉躍る感覚に襲われる。
その一方で、実に煌びやかで、色彩感に満ちている。艶やかでもある。しかも、身のこなしはしなやか。マッケラスによる音楽づくりは鋭敏なものでありつつも、音の質感には、ふくよかさが感じられもする。こういった辺りは、ウィーン・フィルに依るところが大きいと言えましょう。そんなこんなによって、荒々しい演奏ぶりでありながらも、粗暴なものとはなっておらずに、洗練味を帯びた音楽が響き渡っている。なおかつ、頗る美しい音楽が響き渡っている。

いやはや、聴いていて陶酔状態に陥ってしまう、なんとも素晴らしい演奏であります。