カピュソン兄弟とチョン・ミョンフン&グスタフ・マーラー・ユーゲント管によるブラームスの二重協奏曲を聴いて

今日は、妙心寺の塔頭の一つであります長慶院へ、藤の花を観に行ってきました。年に数日だけ公開されるのですが、今年は、昨日から明日までの3日間の公開。
客間に入ると、窓越しに広がっている藤の庭が目に飛び込んできます。額縁に収められた絵画のよう。それはもう、圧巻の光景。
藤棚にぶら下がっている姿を観るのではなく、木として自然に咲いている藤の花を眺める。紫色の藤に混じって、白い藤も見える。楚々としていてながらも、華麗な光景。
いやはや、なんとも見事でありました。

さて、本日の音楽は、カピュソン兄弟とチョン・ミョンフン&グスタフ・マーラー・ユーゲント管によるブラームスの二重協奏曲(2007年録音)について。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

スッキリと、そしてスマートに纏められている演奏であります。見通しが良くもある。それは、カピュソン兄弟のソロにも、チョンにも当てはまる。そのために、この作品ならではの濃密なロマンティシズムは、かなり減退していると言えそう。
更に言えば、ブラームスならではの重厚な響きも、あまり感じられない。スリムな出で立ちをしたブラームス演奏になっています。
それだけに、なんとも清新な演奏となっている。それでいて、必要十分に律動的でもある。それは特に、最終楽章において顕著。
そのうえで、ルノーによるヴァイオリンも、ゴーティエによるチェロも、誠に音が美しい。艶やかで、かつ、なんとも滑らかでもある。甘美でありつつ、キリっとしてもいる。そのことによって、見通しの良さや、スマートさが、一段と引き立っているようにも思えます。

現代の感覚にフィットした演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。