ケンペ&ウィーン・フィルによるシューベルトの≪ロザムンデ≫組曲を聴いて

ケンペ&ウィーン・フィルによるシューベルトの≪ロザムンデ≫組曲(1961年録音)を聴いてみました。
ここでは、劇音楽である≪ロザムンデ≫から、序曲、間奏曲第3番、バレエ音楽第2番の3つのナンバーが演奏されています。

謹厳で堅固にして、優美さを湛えている演奏であります。
序曲の序奏部は荘重な雰囲気を宿している。堂々とした佇まいをした音楽が鳴り響いています。ところが、主部に入ると、流動感に満ち、しなやかな音楽が流れ出してくる。しかも、力感に富んでいて、逞しくもある。何と言いましょうか、柔にして剛な音楽となっています。
しかも、キリっとした佇まいをしている。音楽が宿しているエネルギーがいたずらに拡散するようなことはなく、凝縮度の高い演奏が繰り広げられている。
そのような性格は、2曲目として収められている間奏曲第3番においても、さほど変わりはありません。ロザムンデのメロディとして名高くて、シューベルトがたびたび転用した旋律を持っているこのナンバーが、求心力の高い音楽として鳴り響いている。それでいて、ウィーン・フィルならではの柔らかな響きが、この演奏に潤いや、優美さや、伸びやかさを与えてくれている。このことは序曲でも感じられたのですが、間奏曲において一層鮮やかなものとなっている。
最後に収められているバレエ音楽第2番での演奏ぶりは、前の2つのナンバーと比べると、より伸びやかであると言えましょう。そのうえで、律動感がタップリ。それでもやはり、浮かれるような素振りは微塵も見受けられず、堅固な演奏が展開されている。その先から、典雅にして、格調の高い音楽世界が出現してきている。

ケンペ&ウィーン・フィルというコンビの美質がタップリと感じられる、聴き応え十分な≪ロザムンデ≫。
独特な魅力を宿している、素敵な演奏であります。