クーベリック&バイエルン放送響によるブルックナーの交響曲第3番を聴いて

クーベリック&バイエルン放送響によるブルックナーの交響曲第3番(1980年録音)を聴いてみました。

キリっとした表情を湛えているブルックナー演奏となっています。ケレン味がなくて、誠実さが溢れている。そのうえで、スッキリとしていて、端正。全体的に凛としている。
贅肉を削ぎ落とした、筋肉質な演奏だとも言えそう。カロリーは控えめ。清々しさが感じられもします。そして、不純物が一切含まれていない、ピュアな美しさに溢れた音楽が鳴り響いている。高潔さが伺えもする。
その一方で、律動感にも不足はありません。誇張のない逞しさを備えている。足取りからは確信のようなものが感じ取れ、風格豊か。そして、徹頭徹尾、充実した響きがしています。最終楽章のクライマックスでは、見通しの良い壮麗さとでも形容できそうな盛り上がりが示されている。そんなこんなによって、決して軽量級なブルックナーにはなっていないと言えましょう。

純粋なる「美」をまとっている、実に魅力的なブルックナー演奏であります。