ミケランジェリによるシューマンの≪謝肉祭≫を聴いて

ミケランジェリによるシューマンの≪謝肉祭≫(1975年録音)を聴いてみました。

理知的であり、情熱的。毅然としていて凛としていて凝縮度が高く、かつ、壮麗で豪壮で力感に溢れている。こういった、相反すると思われる要素が矛盾することなく同居している演奏。そんなふうに言えるように思います。

今述べました印象のうち、それぞれの前半部分はミケランジェリの音楽性による要因が強く、後半部分はシューマンの音楽が持っている体質に依るところが大きいように思えます。そのような両者が、幸福な形で融合された音楽。そんなふうにも言えるのではないでしょうか。
(もちろん、シューマンの音楽には前半部分の性格が備わっていて、それ以上に、後半部分の要素をミケランジェリが持っているというのも、それぞれが確かなことなのでありますが。)
そんなこんなのうえで、とても結晶度の高い音楽になっている。冴え冴えとしていて、高潔で玄妙な音楽となっている。そして、がっしりとした構成感が示されている。

いやはや、なんとも趣き深い演奏であります。そして、見事な演奏であります。