ツィマーマン&コンドラシン&コンセルトヘボウ管によるショパンのピアノ協奏曲第1番を聴いて

ツィマーマン&コンドラシン&コンセルトヘボウ管(RCO)によるショパンのピアノ協奏曲第1番(1979年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

1975年のショパンコンクールの覇者でありますツィマーマンの、23歳になる年の演奏となる当盤。この前年にはジュリーニ&ロス・フィルとも同曲をライヴ録音しており、そちらの方が広く知られていると言えそうですが、このコンドラシン&RCOとの演奏も素晴らしい内容となっています。

ここでのツィマーマンによる演奏はと言いますと、才気が漲っていて、かつ、じっくりと腰を落ち着けたものとなっています。そこにはもう既に、大家の風格のようなものが感じられる。それでいて、若き日のツィマーマンに特有の、瑞々しさや清々しさの備わった音楽が鳴り響いている。凛としたロマンティシズムが感じられもする。
そのうえで、ニュアンスが濃やかで、コクのある演奏ぶりが示されています。そして何よりも、ライヴならではの感興の豊かさや感情の昂まりが備わっている。とても熱くて、雄渾で、かつ、逞しくもあるのです。最終楽章などでは、煌びやかな雰囲気が色濃く出てもいる。
更に言えば、骨太な雰囲気が漂っている。この点については、ツィマーマンによる演奏としては、かなり珍しいと言えそう。そして、とてもダイナミックであり、強靭でもある。
しかも、コンドラシン&RCOがまた、素晴らしい。コンドラシンが指揮するショパンというのは実に珍しいと言えましょうが、RCOの奥行きの深さが感じられる芳醇な響きと相まって、充実感たっぷりでコクの深い音楽が鳴り響いています。ツィマーマンにも増して逞しさが感じられ、骨太であり、腰の据わった音楽が響き渡っている。
そのようなバックアップに感化されたが故の、ここでのツィマーマンの演奏ぶり。そんなふうにも言えるのではないでしょうか。

協奏曲での演奏の醍醐味を味わうことのできる演奏。
そのうえで、ユニークな魅力を湛えていて、かつ、見事で聴き応え十分な、素敵な演奏であると思います。