モントゥー&ロンドン響によるエルガーの≪エニグマ変奏曲≫を聴いて
モントゥー&ロンドン響によるエルガーの≪エニグマ変奏曲≫(1958年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
明快でありつつも、逞しい生命力を宿していて、かつ、気宇の大きな演奏が繰り広げられています。実に晴れやかでもある。こういった演奏ぶりが、なんともモントゥーらしい。
目鼻立ちがクッキリとしていて、動きの明瞭な演奏となっている。見通しがスッキリとしていて、清々しくもある。しかも、音楽は存分にうねっていて、激情的もある。とは言いながらも、強引な表現は微塵も見当たらず、流れが頗る自然。そして、息遣いが豊かでもある。
そのうえで、滋味に溢れ、コクの深い演奏となっている。風格豊かでもある。この変奏曲における一つの頂点とも言えそうな第9変奏の「ニムロッド」では、ことのほか、崇高にして雄大な音楽が鳴り響いています。
その一方で、その直後の第10変奏の「ドラベッラ」に顕著であるように、軽妙にして、可憐な表現も、あちこちで聴くことができる。全体的に、屈託がなくて、晴朗な音楽が鳴り響いている。例えば、第11変奏の「G.R.S」などでは、歯切れのよい、キビキビとした演奏が繰り広げられていて、痛快この上ない。終曲の「E.D.U」は、エルガーの自画像と言える音楽でありますが、ここでの演奏の、なんと勇壮で、格調高くて、なおかつ、壮麗なことでありましょうか。
多彩で、生き生きとしていて、かつ、味わい深い演奏。
モントゥーの魅力がギッシリと詰まっている、素敵な≪エニグマ≫であります。