カザドシュ夫妻による「四手のためのフランス・ピアノ音楽集」を聴いて

カザドシュ夫妻による「四手のためのフランス・ピアノ音楽集」(1959年録音)を聴いてみました。
収録されているのは、下記の4曲。
ドビュッシー ≪小組曲≫
サティー ≪梨の形をした3つの小品≫
シャブリエ ≪3つのロマンティックなワルツ≫
フォーレ ≪ドリー≫

お洒落で、愛らしくて、暖かみのある音楽であり、演奏となっています。聴いていて、心が弾んでくる。そして、安らぎを覚えもする。
インティメートな雰囲気に包まれた演奏となってもいる。そのこともあって、19世紀後半から20世紀前半にかけてパリで盛んに催された、上流階級を中心に仲間内で楽しんでいた「サロン」を連想させるような世界が広がることとなっている。
しかも、音楽が粘るようなことは皆無。明朗にして、スッキリとした演奏が繰り広げられている。フランス音楽での演奏にありがちだと思われる(それは、ある種の迷信とも言えそうなのですが)曖昧模糊とした空気が漂うようなことはなく、克明な音楽が鳴り響いている。そう、音の粒がクッキリとしているのであります。
そのうえで、≪小組曲≫と≪ドリー≫では、優しさに満ちた音楽が奏で上げられている。≪梨の形をした3つの小品≫では、温もりがありつつ、瞑想的な雰囲気や悪戯っぽさも良く出ている。≪3つのロマンティックなワルツ≫では、明快にして華やかな演奏が繰り広げられている。

ここには、音楽を聴く幸せをタップリと味あわせてくれる音楽が刻まれている。それは、誠に純粋なものだと言いたい。難しいことを考えずに、音楽に身を浸すことのできる作品であり、演奏が並んでいる。
そして、慈愛に満ちた音楽が鳴り響いてもいる。
なんとも素敵な1枚であります。