クーベリック&ボストン響によるバルトークの≪管弦楽のための協奏曲≫を聴いて
クーベリック&ボストン響によるバルトークの≪管弦楽のための協奏曲≫(1973年録音)を聴いてみました。
知的にして、端正な演奏であります。
この曲には(そして、多くのバルトークの作品には)、「血湧き肉躍る」熱狂を求めたくなるのですが、この演奏では、そのような要素はあまり感じられない。整然としていて、腰の据わっている演奏が繰り広げられています。
と言いつつも、決して「ひ弱な」演奏となっている訳ではありません。緊密度が高くて、芯のシッカリとした音楽が鳴り響いている。そのうえで、必要十分に逞しい。過不足のない力感が備わっていて、生命力豊かでもある。
更に言えば、実にきめ細やかな演奏となっている。彫琢が深くもある。そのことによって、端正なフォルムの中に、堅固な構成感と、クリアな立体像のようなものが浮かび上がってくる。そのような演奏になっていると言いたい。
風格の豊かで、コクの深い、「大人の」オケコン。そんなふうに言いたくなる演奏であります。
独自の魅力を持った、素敵なオケコンだと思います。