コリン・デイヴィス&バイエルン放送響によるレーガーの≪モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ≫を聴いて

コリン・デイヴィス&バイエルン放送響によるレーガーの≪モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ≫(1985年録音)を聴いてみました。

この作品は、≪トルコ行進曲付き≫の副題で親しまれているモーツァルトのピアノソナタ第11番K.331の第1楽章の旋律を主題とした変奏曲。とても愛らしくて、優美で、親しみやすさのある音楽となっています。ときに軽妙洒脱な表情を見せてくれる。或いは、ときによっては峻厳であったり、雄々しい表情を見せてくれたりもする。
さて、ここでの演奏についてでありますが、優しい表情を湛えた人情味豊かなものとなっています。晴朗で、伸びやかでもある。そして、息遣いが自然で、ふくよかさが感じられる。
そのうえで、真摯な音楽づくりで、凛としていつつ、逞しくもある。そう、実直な音楽が鳴り響いている中から、生き生きとした表情が見えてくるのです。毅然としていて、堂々たる佇まいが示されてもいる。そして、終曲のフーガでは、雄大な音楽が奏で上げられてゆくこととなる。
更には、職人的な手際の良さや、聴かせ上手な面も持ち合わせているように思えます。変奏曲の作品だということもあって、このような一面が強調されているのではないでしょうか。
そんなこんなによって、この作品の音楽世界に、ス~っと入り込むことができる。

精妙にして、立派な演奏。そして、この作品の魅力を存分に味わうことのできる演奏。
なんとも素敵な演奏であります。