ニコレ&リヒター&ミュンヘン・バッハ管によるモーツァルトのフルート協奏曲第1,2番を聴いて

ニコレ&リヒター&ミュンヘン・バッハ管によるモーツァルトのフルート協奏曲第1,2番(1960年録音)を聴いてみました。
スイス生まれのニコレ(1926-2016)は、フルトヴェングラーに嘱望されて1950年から1959年までベルリン・フィルの首席フルート奏者を務めましたが、この演奏は、そのポストを退いてソロ演奏活動を開始した翌年に録音されたものとなります。
さて、ここでの演奏はと言いますと、堅実で、かつ、厳格なものとなっています。構築感が高くて、誠にキッチリカッチリとしている。体幹のシッカリとした演奏だとも言えそう。
それでいて、全く堅苦しくはありません。むしろ、伸びやかな演奏ぶりが示されている。暖かみを湛えてもいる。そのうえで、決して派手であったり、軽やかさを前面に押しだしたり、といった演奏ぶりではないのですが、この2作に必要な「華やかさ」や「飛翔感」も、充分に備えたものとなっている。必要十分に、晴朗で爽やかでもある。
それらはまさに、ニコレの豊かな音楽性と、人間性に依るのでありましょう。アクロバティックな演奏とは対極にあるような演奏ぶりで、一歩一歩踏みしめるような演奏ぶりでありつつも、見事な技巧に支えられている演奏。その結果として、流れには淀みはなく、かつ、音楽からふくよかさが感じられる。凛としていつつ、まろやかで、暖かみを帯びている。
同じことが、リヒターの指揮にも当てはまりましょう。ニコレ以上に厳格さが滲み出ていつつも、音楽が硬直するようなことは皆無で、自然な息遣いが感じられる。そして、充実感たっぷりな音楽を鳴り響かせてくれている。
聴き応え十分な、そして、ズシリとした手応えを持っている演奏。しかも、実直にして、晴れやかでもある。
なんとも味わい深い、素晴らしい演奏であります。





