メータ&ウィーン・フィルによるシューマンの≪春≫を聴いて

京都の街は、春爛漫。本日の京都は、好天に恵まれてポカポカ陽気でした。
今年の桜は早く、場所によっては(そして、種類によっては)、既に散り始めていますが、まだまだ多くの場所で見頃が続いています。そこで本日は、京都の中でも桜の人気スポットの一つ、「嵐電の桜のトンネル」(鳴滝駅~宇多野駅間の、宇多野1号踏切)へ行ってきました。咲き誇っている桜の中に、嵐電の紫色の車体が映えています。
京都へ引っ越して迎えた4回目の春。桜の時期には、毎年、このスポットを訪れているのですが、この光景を見ますと気分が晴れやかになります。

桜のトンネルを駆け抜ける、嵐電の電車

さて、そのような気分に相応しい音楽を、ということで聴きましたのが、メータ&ウィーン・フィルによるシューマンの≪春≫(1976年録音)。
なんとも溌溂としている演奏であります。音楽が、あちこちで弾んでいる。
晴朗にして快活な音楽世界が広がっています。爽快感が強くもある。しかも、誠に美麗。それはもう、ウットリするほどに美しい。
その美しさに大きく貢献しているのが、ウィーン・フィルだと言えましょう。艶やかで、しなやかで、柔らかくて、輝かしい響きで包まれている。しかも、厚みや安定感も充分。厚みがあると言いましても、鈍重なものではなく、品位があって、押しつけがましさのない、清々しい「厚み」といった感じ。
そのようなウィーン・フィルを相手に、生命力が漲っていて、明朗で、そしてニュアンスの豊かな演奏を繰り広げるメータ。聴いていて、スカッとしてきます。しかも、華やかな空気感に覆われていつつも、構成感も充分。

この演奏、今一つ知名度が高くないかもしれません(あくまでも、私個人の印象です)。しかしながら、惚れ惚れするほどに美しくて、何もかもが充実し切っている演奏となっている。
是非とも一人でも多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、素敵な演奏であります。