オーマンディ&フィラデルフィア管によるハイドンの≪奇蹟≫と≪時計≫を聴いて

オーマンディ&フィラデルフィア管によるハイドンの≪奇蹟≫と≪時計≫(1961,62年録音)を聴いてみました。
滑らかで、かつ、まろやかな演奏が展開されています。ぬくもりに溢れている演奏でもある。
オーマンディ&フィラデルフィア管と言えば、豪華絢爛で華麗な色彩美を湛えた管弦楽作品を、煌びやかで豊麗に描き上げてゆくことを得意としているコンビだというイメージが強いのではないでしょうか。その点からすると、ハイドンの交響曲などは、水と油のような存在なのだろう、といったふうに思われることでしょう。
なるほど、ここでのハイドンは、流麗な演奏ぶりが示されていると言えそう。しかしながら、華美に過ぎることはない。と言うよりも、頗る端正な音楽が奏で上げられています。その内側には、音楽への真摯な姿勢が感じられもする。表面だけを着飾ったような音楽になるようなことは、決してないのです。
全体的に、やや遅めのテンポを採りながら、ジックリと腰を落ち着けた演奏ぶりが示されています。刺激的な要素のない演奏だとも言えそう。ある種、何もかもが円満な音楽が鳴り響いている。
とは言うものの、ただ単に穏健なだけの演奏になっている訳ではありません。充実感たっぷりな音楽が奏で上げられている。しかも、響きがとても艶やか。そのうえで、特に≪時計≫においては、風格の豊かさが滲み出ている。
そして何よりも、全編において、優美な音楽が奏で上げられていることの、なんと尊いことでしょう。潤いを持った充実した音響が描き出してくれる、明朗にして雅趣に満ちた音楽世界が広がってゆく演奏だとも言いたい。
そんなこんなによって、「水と油」と言った言い方の全く当てはまらない、味わい深くて、魅力的な音楽が鳴り響くこととなっています。
(似たようなことが、オーマンディが指揮するベートーヴェンやブラームスなどについても当てはまります。)
偏見抜きにして耳を傾けることをお薦めしたい、とても素敵なハイドン演奏であります。





