ゴーティエ・カピュソン&ゲルギエフ&マリインスキー管によるプロコフィエフの≪交響的協奏曲≫を聴いて

ゴーティエ・カピュソン&ゲルギエフ&マリインスキー管によるプロコフィエフの≪交響的協奏曲≫(2008年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

G・カピュソンが27歳の時に録音された、この演奏。そのチェロ演奏はと言いますと、とても気品に満ちたものとなっています。それはちょっと、プロコフィエフの作品にはそぐわないのではないだろうか、と思えるほどに。そして、精彩に富んだ演奏となっている。更には、瑞々しい感性を裏打ちとした音楽が鳴り響いているとも言いたい。
艶やかな響き、端正なフォルム、的確なテクニック。もう何もかもが「美しさの限り」を尽くしているチェロだと言えましょう。そして、高貴さのようなものが漂っている。
であるからこそ、プロコフィエフの音楽に特有の、シリアスでシニカルで、ある種のバーバリズムを備えている音楽が、「至純の美しさ」を持ったものとして鳴り響いている。それはもう、惚れ惚れするほどに美しい。
それでいて、決して凶暴ではないものの、音楽にはシッカリとした逞しさが備わっている。アグレッシブに攻めている音楽となっている。しかも、音楽のフォルムが崩れたり、美感が損なわれたり、といったところが全くないところが、なんとも尊い。
これはもう、恐るべき演奏であると言えるのではないでしょうか。ここからは、音楽センスの塊が感じられもする。
そのようなG・カピュソンをバックアップしているゲルギエフもまた、逞しさと洗練味とを兼ね備えた演奏を展開していて、独奏をシッカリと支えてくれている。

いやはや、なんともユニークな、そして、異次元の境地にまで達していると評したくなるほどに見事な、素晴らしい演奏であります。