ブロムシュテット&バンベルク響によるマーラーの交響曲第9番を聴いて

ブロムシュテット&バンベルク響によるマーラーの交響曲第9番(2018年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
ブロムシュテットらしい、清潔感の漂う、かつ、滋味深いマーラー演奏となっています。
テンポはやや遅めで、決して先を急ぐようなことはない。ジックリと音楽を鳴らしてくれています。そして、コケ威しなところの全くない、誠実味に溢れた演奏が展開されている。
それでいて、決してヤワな演奏になっていたり、曖昧なところがあったり、といったことはありません。音楽が逞しく息づいていて、推進力にも不足はない。なおかつ、隈取りがクッキリとしていて、ビビッドな演奏が繰り広げられている。
そのうえで、表面的な音楽にはならずに、コクが深くて、中身の濃い音楽が鳴り響いている。
更には、必要以上に熱くなるようなことはなく、情念的に傾いたり、情緒に流されたりといったようなこともなく、理知的な演奏となっている。爽やかさを備えているとも言えそう。更には、頗る洗練された音楽になっている。
派手さのない、実直なマーラー演奏。清新でもある。そして、堅固な音楽づくりが為されていて、充実感いっぱい。そのような印象を抱くことには、バンベルク響の飾り気のなさも、大いに作用されているように思えます。しかも、機能的に見劣りするようなことはない。そのうえで、このオケならではの、落ち着いた、古雅な響きを味わうことができる。
なんとも味わい深い、底光りするような魅力を備えているマーラー演奏。なるほど、聴いていて熱狂するようなことは殆ど無いでしょう。とは言うものの、音楽を聴く充足度の高い演奏となっている。
ブロムシュテットの美質がギッシリと詰まっている、素晴らしいマーラーの9番であります。





