ミルシテイン&モントゥー&コンセルトヘボウ管によるブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴いて

ミルシテイン&モントゥー&コンセルトヘボウ管によるブラームスのヴァイオリン協奏曲(1950年ライヴ)を聴いてみました。

ミルシテインの美音に満ち溢れている、なんとも魅惑的な演奏が展開されています。しかも、芯のシッカリとした音楽が奏で上げられている。
このときミルシテインは47歳。円熟期に向かう直前の、気力の充実していた時期の演奏だと言えましょう。まだまだ身体的な機能も、充分に維持されていたのであろう時期だったとも思える。
そのような時期であったことが頷ける、覇気の漲っている演奏が繰り広げられています。力感に富んでいて、緊迫感を孕んだ演奏にもなっている。そのうえで、凛としていて、頗る格調が高い。情趣深くもある。
そして何よりも、果てしなく美しくて、艶やかであります。その美しさからは、高貴な薫りが滲み出てくるようだ、とも言いたい。
モントゥーによる指揮は、誠に生き生きとしたもの。どっしりと構えていて、風格豊かで、そのうえで熱気に溢れてもいます。堅実でいて、豪壮でもある。そのようなモントゥーに応えるコンセルトヘボウ管がまた、充実感いっぱいな音を鳴り響かせてくれているのが、この演奏に大きな魅力を添えてくれている。

純美と言えるようなロマンティシズムに溢れているブラームス演奏。気品に満ちている演奏だとも言いたい。
ミルシテインの魅力と、モントゥー&コンセルトヘボウ管の充実度の高さとを存分に味わうことのできる、なんとも素敵な演奏であります。