ベーム&ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲第4番を聴いて

ベーム&ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲全集から第4番(1972年録音)を聴いてみました。
なんとも手堅いベートーヴェンとなっています。しかも、ただ手堅いだけではなく、逞しい運動性を備えている。推進力が漲ってもいる。そして、表情が実に生き生きとしている。弾力性を帯びた音楽が鳴り響いている。輝かしさに溢れてもいる。底力を蓄えながら、前進してゆくような演奏だとも言えましょう。特にそれは、急速楽章において顕著。そして、緩徐楽章では、悠然としながらも、味わい深い歌心を秘めた音楽が奏でられてゆく。
全曲を通じて、ベームの気力の充実ぶりが放射されている、そんな音楽になっているように思えます。
とは言うものの、先を急ぐようなことは全くない。ジックリと音楽は奏で上げられているのであります。確固たる歩みが示されている。足腰のシッカリとした演奏だとも言いたい。構築感が高くもある。
なるほど、ここにはシューマンが形容した、「第3番と第5番という2人の北欧神話の巨人に挟まれた可憐なギリシャの乙女」といったものからは懸け離れた音楽が鳴り響いていると言えましょう。とは言うものの、荒々しさは全く感じられない。むしろ、毅然とした優美さ、といったものが漂っており、それがまた頗る魅力的。そのような印象を抱くのは、ウィーン・フィルに依るところが大きいのは間違いないでしょう。そう、ここでのウィーン・フィルの響きは、実に柔らかくて、しかも艶やかでふくよかなのであります。響き渡っている音楽は、とてもしなやかでもある。そして、弾けるような活力を孕んだ音を響かせてくれている。ウィーン・フィルのそのような演奏ぶりによって、「柔軟性を備えた剛直さ」といった性格を備えた音楽となっているように思えます。
ベーム&ウィーン・フィルというコンビだからこそ成し得た、重層的な魅力に溢れていて、奥行きのある音楽にもなっている、なんとも素敵なベートーヴェンの第4番であります。





