スヴェトラーノフ&フィルハーモニア管によるR=コルサコフの交響曲第2番≪アンタール≫を聴いて

スヴェトラーノフ&フィルハーモニア管によるR=コルサコフの交響曲第2アンタール1989年録音)を聴いてみました。
NML
(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

スヴェトラーノフは、1980年前後と、1990年代の前半に、2度にわたってR=コルサコフの交響曲全集を完成させています。そこでのオケは、いずれも手兵のロシア国立響(1回目の全集は、改称前のソビエト国立響)でした。
ということで、スヴェトラーノフは、僅か10年ほどの間に、同曲を3度録音したことになります。この曲を、深く愛していたのでしょう。

さて、ここでの演奏はと言いますと、雄大にして、豪快、しかも、洗練味を帯びたものとなっています。色彩感に富んでもいる。
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コルサコフならではの、旋律美に溢れている壮麗な音楽世界を存分に楽しめる演奏となっている。それも、骨太で逞しい筆致で。しかしながら、決して力で押し通すような演奏にはなっている訳ではありません。荒々しい演奏ぶりが示されている訳でもない。余裕をもってオケをドライブし、その結果として、巧まざる形で堂々たる音楽世界が築かれてゆく、といった演奏だと言えそう。そして、ノーブルな音楽となってもいる。
そのうえで、エキゾティックでノスタルジックな雰囲気にも不足はない。この作品ならではの、妖艶な空気感が立ち昇ってくる、といった趣きも充分。

この作品の魅力を存分に味わうことのできる、素敵な素敵な演奏であります。