ロジェストヴェンスキー&ソビエト文化省響によるグラズノフの交響曲第3番を聴いて
ロジェストヴェンスキー&ソビエト文化省響によるグラズノフの交響曲第3番(1984年録音)を聴いてみました。
ロジェストヴェンスキー&ソビエト文化省響のコンビは、グラズノフの交響曲全集を制作していますが、これは、その中の1枚。
豪快で、かつ、華麗な音楽となっています。このことは、作品についても、演奏についても当てはまる。
彩りの鮮やかな音楽であります。とても流麗で、ロマンティックでもある。そのような作品を、ロジェストヴェンスキーは骨太な音楽づくりを基調としながら、豪壮に奏で上げてくれています。それでいて、決して粗暴になるようなことはなく、滑らかさや艶やかさが備わってもいる。そして、率直にして、ケレン味のない演奏が繰り広げられている。
そんなこんなによって、グラズノフの音楽が持っている華やかさや、色彩感や、メロディアスな魅力や、といったものが、ストレートな形で表されることとなっている。
更には、とても夢幻的に奏で上げられている。それは、もともとが妖精の世界を描いた音楽だと言えそうな雰囲気を持っている(それは、メンデルスゾーンの≪真夏の夜の夢≫に相通じるような性質のものだと言いたい)、スケルツォ楽章である第2楽章において、殊更に顕著であります。この楽章での演奏を筆頭に、音の粒がクッキリとしたものとなってもいる。
そのうえで、逞しい推進力を宿した音楽が掻き鳴らされることとなっている。
ロジェストヴェンスキーの魅力が詰まっている演奏。そのことによって、グラズノフが書いた音楽の素晴らしさを堪能することのできる演奏となってもいる。
グラズノフの交響曲は、メジャーな存在だと言えないかもしれませんが、作品の魅力も含めて、とても素敵な1枚であります。