レヴァイン＆シカゴ響によるプロコフィエフの交響曲第5番を聴いて
レヴァイン＆シカゴ響によるプロコフィエフの交響曲第5番（1992年録音）を聴いてみました。
レヴァインらしい、明快な演奏が展開されています。そして、豪快でゴージャスな演奏となっている。豊麗で、輝かしくもある。
オケを目いっぱい鳴らし切っていて、その点での痛快さを存分に味わうこともできる。
そのようなレヴァインの要求に対して、シカゴ響は、持ち前のパワフルさで存分に応えてくれていると言えましょう。機能性の高さや、アンサンブルの精密さも見事。そのことが、この演奏の魅力を大きく引き立ててくれています。
なるほど、プロコフィエフの音楽が持っているシニカルな表現は薄められていると言うべきかもしれない。全体的に、あっけらかんとした演奏となっている。冒頭でも書きましたように、明快な演奏だと言いたい。いや、明朗と言ったほうが良いかもしれない。そう、なんとも朗らかで快活なプロコフィエフ演奏になっているのであります。
ネアカなプロコフィエフ演奏。
しかしながら、一見してプロコフィエフらしくない演奏だと思えてしまうことを、度外視させてくれるほどに、素敵な演奏だと言いたい。晴れやかな気分に浸ることのできることは、他からは得難い魅力だとも言えましょう。
充分に熱気を帯びていて、ダイナミックで、しかも屈託がなくて、しなやかで、伸びやかな演奏。壮麗でもある。この作品は、そのような側面も持っていると思えるだけに、ここでのレヴァインによるアプローチも、私は大歓迎であります。何と言いましても、とても率直な音楽づくりが為されているために、聴いていて爽快感を覚えてくる。
独自の魅力を備えていて、かつ、聴き応え十分の、なんとも素敵な演奏であります。