パレー&デトロイト響によるスッペの序曲集を聴いて
パレー&デトロイト響によるスッペの序曲集(1959年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
収められているのは、下記の6曲の序曲。
≪美しいガラテア≫
≪スペードの女王≫
≪軽騎兵≫
≪詩人と農夫≫
≪ウィーンの朝昼晩≫
≪ボッカチオ≫
パリッとしていて、明瞭にして明快な演奏が繰り広げられています。輪郭線がクッキリとしている。それはもう、痛快なまでに。
しかも、速めのテンポを基調としながらキビキビと進められていて、音楽があちらこちらで弾け飛んでいる。疾駆感に富んでいる。そして、推進力に満ちている。それはもう、生き生きとしていて、生命力に溢れている音楽となっています。そのうえで、客観的でクリアな音楽が奏で上げられているのであります。
それでいて、決して乾いた演奏にはなっている訳ではなく、しなやかでまろやかで、温かみのある音楽が鳴り響いているのが凄いところ。こんなにも明晰で、ものごとをキッパリと言い切るような演奏ぶりであるのに、しなやかさを帯びていて、柔らかみもあって、温かみが感じられるだなんて、不思議でならなりません。そして、とても格調高い。まさしく、神業だと言えましょう。
そんなこんなのうえで、実にリズミックで、聴いていて心弾んでくる。そのことによって、スッペの作品がより一層魅力を増すこととなっている。
上で述べてきましたことは、パレーが遺してくれた多くの音盤で感じ取るができるのですが、このスッペ集では、パレーの美質がよりクッキリと刻まれているように思えます。
そのうえで、作品の性質も含めて、音楽を聴く愉しみを存分に味わうことのできる、驚異的なまでに素晴らしい音楽が収められている。
多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、頗る魅力的な1枚であります。