千本釈迦堂での「おかめ福節分会」体験と、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによるワーグナーの管弦楽曲集を聴いて
今日は節分の日。
京都は、節分にまつわる行事がとても盛んで、多くの寺社で節分会が執り行われます。心の邪気や疫病、天災などを退散し、福を呼び込む節分。京都に引っ越してからというもの、節分が身近なものになりました。
今年は天龍寺と千本釈迦堂、2ヶ所の節分会に行ってきましたが、特に千本釈迦堂の「おかめ福節分会」は、実に多彩であり、かつ、意義深さを噛み締めることのでき、とても素敵でした。京都で幾つかの節分会に接してきましたが、最も楽しめたものとなりました。
さて、本日ご紹介しますのは、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによるワーグナーの管弦楽曲集(1973-1982年 全てレニングラードでのライヴ)。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
収められているのは、下記の7曲。
≪神々の黄昏≫ジークフリートの葬送行進曲 (1978年ライヴ)
≪トリスタンとイゾルデ≫前奏曲と愛の死 (1978年ライヴ)
≪ワルキューレ≫ワルキューレの騎行 (1978年ライヴ)
≪タンホイザー≫序曲 (1982年ライヴ)
≪ローエングリン≫第1幕への前奏曲 (1973年ライヴ)
≪ローエングリン≫第3幕への前奏曲 (1973年ライヴ)
なんとも凝縮度の高い演奏が繰り広げられています。音楽全体がキリっと引き締まっている。そのうえで、鋼のように強靭な音楽が鳴り響いている。
しかも、曖昧なところが微塵もない。冷徹な音楽づくりが為されていると言えましょう。更には、頗る厳粛な音楽世界が広がることとなっている。
そのうえで、造形美の極みをゆくような演奏になっていると言いたい。全編を通じて、端正で気品に満ち溢れていながら、ドラマティックで情熱的でもある。逞しい生命力が宿ってもいる。もっと言えば、壮麗な音楽が鳴り響くこととなっている。
そんなこんなもあって、音楽は全く空騒ぎするようなことはありません。例えば、「ワルキューレの騎行」は壮絶でありながら、実に格調高くもある。「ジークフリートの葬送行進曲」では、凄絶にして厳かな音楽が奏で上げられている。≪タンホイザー≫では、疾駆感に富んでいて、燦然たる輝きを放っていながら、整然としていて、かつ、クライマックスでは神々しいまでの音楽が鳴り響くこととなっている。
その一方で、例えば≪トリスタンとイゾルデ≫では、ロマンティシズムが漂ってくる。媚びを売るようなところは全く無いものの、十分に甘美なのであります。感興豊かであり、むせび泣くような音楽となってもいる。
こんな凄いワーグナー演奏、そうは有るものではないでしょう。それはまさに、身震いするほどに素晴らしい。
「神品」という表現が相応しい演奏の揃っている1枚だと言えましょう。