オーマンディ&フィラデルフィア管によるビゼーの≪カルメン≫第1,2組曲を聴いて

オーマンディ&フィラデルフィア管によるビゼーの≪カルメン≫第1,2組曲(1975,76年録音)を聴いてみました。

≪カルメン≫から12のナンバーが抜粋されての組曲版。演奏時間は36分ほど。
オケのみでの演奏ではあるものの、曲数が多い分、このオペラの雰囲気をよく味わうことのできる内容となっています。

さて、この演奏の印象はと言いますと、華麗で、愉悦感に満ちていて、かつ、語り口が巧みだということ。
ゴージャスな演奏ぶりで、なおかつ、メリハリの効いた演奏が繰り広げられている。目鼻立ちがクッキリとしていて、明朗な音楽となっている。色彩感に溢れてもいる。そのうえで、スッキリと纏め上げられている演奏であります。全体的に、晴れやかな雰囲気が漂ってもいる。
そのような演奏ぶりによって、このオペラの音楽世界を、手軽に覗き込むことができる。聴いていて、ワクワクもしてくる。総じて、エンターテインメント性の高い演奏だと言えましょう。
それでいて、変に軽々しくなるようなことはない。凛としていて、格調が高い。そのうえで、ふくよかであり、芳しさの漂う演奏となっている。
しかも、フィラデルフィア管の、なんと巧いこと。オペラでは歌手陣が歌い上げてゆく旋律を、管楽器を中心に、様々な楽器がソロで奏でゆくのでありますが、いずれもが華やかに、艶やかに、そして表情豊かに演奏されている。

音楽を聴く愉しさを思う存分に味わうことのできる、素敵な音楽であり、演奏であります。