アンセルメ&スイス・ロマンド管によるショーソンの交響曲を聴いて

アンセルメ&スイス・ロマンド管によるショーソンの交響曲(1967年録音)を聴いてみました。

フランクの弟子であったショーソンが、生涯に唯1曲のみ書き残した交響曲。恩師のフランクの交響曲の影響を色濃く受けていて、3楽章で構成されており、なおかつ、循環形式が採り入れられています。また、ドイツ風な構成感の堅固さを備えていて、シンフォニックな感興にも不足が無い。しかも、精彩に富んでいて、抒情性の豊かさを湛えてもいる。
(ドイツ風と言えば、緩徐楽章である第2楽章の旋律は、≪トリスタンとイゾルデ≫の第3幕への前奏曲のメロディとよく似ています。)

そのような作品を、アンセルメは、スケール大きく、かつ、感興豊か奏で上げてゆく。それは、普段のアンセルメが、精巧な音楽づくりを優先させて、スケール感の大きさにあまり頓着していなかったとするならば(この言い方は、かなり誇張を込めていますが、あながち大きく外れているとは思いません)、ここでの演奏は、雄大で壮麗で、燃焼度が高くて、エネルギッシュな音楽が響き渡ることとなっているのであります。更に言えば、鮮烈でもある。
しかも、頗る堅固な演奏が展開されている。
そのうえで、アンセルメらしい精妙な演奏ぶりが示されています。この作品に相応しい、詩情の豊かさが備わってもいる。

この作品の音楽世界にドップリと身を浸すことのできる、なんとも素敵な演奏であります。